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2015/09/22

羽ラジ的貨幣論

人類は「貨幣」を超えられるか。
アートと貨幣 / 物語る貨幣 / 貨幣のムコウ / 暴力と貨幣 / オルタナティヴな貨幣




[Tunes on Air]

#1 カモン諭吉 / 打首獄門同好会
#2 You Never Give Me Your Money / The Beatles
#3 Money In The Rhymebook / Think Twice feat. Coates
#4 Money In The Meter / Bing Ji Ling
#5 Money Changes Everything / Cyndi Lauper featuring Adam Lazzara


2015/07/28

羽ラジ余話



[Tunes on Air]
#1Food Revolution Day Song / Jamie Oliver
#2 Keep On / Kaoru Inoue
#3 Samba Medley / 菅野邦彦
#4 Original Bedroom Rockers / Kruder & Dorfmeister
#5 Cascades / Flakjakat
#6 Tem que valer (Live Version) / i-dep
#7 Lovely Day / Jill Scott

2015/07/14

「美味しい革命」 〜 アンドロイドは電気羊の味がわかるか



[Tunes on Air]
#1 One Flight Down / Norah Jones
#2 Time After Time / Cassandra Wilson
#3 Let’s Do It (Let’s Fall In Love) / Ella Fitzgerald
#4 Blackbird / Bye Bye Blackbird / Sara Gazarek
#5 Easter Song / A Man Called Adam
#6 Neon Blue / Holly Cole Trio
#7 Love Me or Leave Me / Nina Simone
#8 Feel Like Makin’ Love / Marlena Shaw
#9 Just One of Those Things / Jamie Cullum

2015/05/26

「変わらなきゃ」の始末





[Tunes on Air]
#1 Chandelier / Sia
#2 monochrome / Tickles
#3 Daydream / Young Juvenile Youth
#4 Poinciana / Ahmad Jamal Trio
#5 Rio / Soul Bossa Trio
#6 Screamadelica / Primal Scream
#7 Future Shock

2015/04/21

「世界とのズレを加速してみるのもイイんじゃないかな」



市角壮玄・いちずみそうげん(グラフィックデザイナー / 占い師)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                  
 ∋ hoxai graphics  http://hoxai.com/ 
 ∋ not for sale. http://not-for-sale.jp/
∋ かまぼこ積み木 http://la-luz.co.jp/portfolio/108980/
∋ BBT大学 http://bbt.ac/environment/event/list/...
[Tunes onAir]

#1 Wake Me Up / Avicii 

#2 Axis mundi / HARMONICA CREAMS

#ending 風の唄 / milkyshadows

2015/03/17

素直さについて

#1 La La La / Naughty Boy ft. Sam Smith
#2 Play / Angela Johnson feat. Frank McComb
#3 Somrtimes / Bridgette McWilliams
#4 Madras / 久保田麻琴
#5 Gomni / Ali Farka Toure & Ry Cooder
#6 Ekla Cholo Re / Ustad Amjad Ali Khan, Amaan Ali Khan & Ayaan Ali Khan
#7 Trace of Dream / Port Of Notes

2015/02/24

YouTubeやらPinterestやら

#1 Unconditional Rebel / siska
#2 Coming up for Air / JHS Bros. & Afán de Ribera
#3 El Sueño de Ibiza / ホセ・パディーヤ
#4 Candy / Cannibal Kiss
#5 サーカスの娘 / グディングス・リナ
#6 Blood is thicker than water / INO hidefumi
#7 Entre deux mondes / Eskadet
#8 That's the Way of the World / ジョン・トロペイ

2015/02/03

本を聴く

#1 fanfare / Fantastic Plastic Machine Feat. TAHITI 80
#2 Tetrapod Love / Fran-Key
#3 Cosmic Dance / Ratnabali
#4 Samba Giulietta / Giulietta Machine
#5 Ya-fu / Aguaflames
#6 Yeha-Noha: Wishes Of Happiness & Prosperity / Sacred Spirit
#7 all I understand is that i don't understand / toe
#8 New Beginning / Calm

2015/01/06

目にみえるすべてのことはメッセージ

#1 Girl One Day / Sunset Blvd.
#2 トゥンカシラ / ラビラビ
#3 FlickerMood / Forss
#4 What the World Needs Now Is Love / みちしたの音楽
#5 Hip Hop / Djeli Moussa Diawara & Bob Brozman
#6 Hope and Falsity / Port Of Notes
#7 Saturday Come Slow / Massive Attack
#8 Liberation / Chari Chari
#9 Love is... / CALM

2014/11/25

コピペと絵文字とSNS

#1 J'y suis jamais Allé (Le fabuleux destin d'Amélie Poulain) / Yann Tiersen
#2 The In Crowd / Benny Green
#3 Oysters In May / Tosca
#4 circus / Trademark
#5 dance dance dance dance / Fantastic Plastic Machine Feat. SU (RIP SLYME)
#6 Garden of Love / Freud
#7 Hope and Falsity / Port Of Notes

2014/09/30

もしもお金がオーガニックだったら、君は愛をただ愛とだけ交換できるのだ。

先週に引き続き、経済思想家の山口揚平さんをお迎えして羽ラジ的貨幣論をお届けします。

〜 山口揚平さん プロフィール 〜
大手コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わった後、独立・起業。
経済思想家。起業家。ブルー・マーリン・パートナーズ株式会社代表取締役。
現在、東京大学大学院生として専門の貨幣論を研究をしながら執筆、大学講師、講演など精力的に活動なさっています。
最近ではロボットによる月面探査に挑戦する、日本初の民間宇宙開発チーム『ハクト』に財務担当として参加。
ますます今後の活動から目が離せない方です。



「お金」はなくなるか?



モトカ:

 これからの「貨幣」はどうなっていくと思われますか?  


山口:
 3つ論点があると思います。 
 1つは、紙のお金とか現物のコインはどうなるのか?これは、無くなっちゃいますよね。
 今もう97%くらいのお金が電子化されていて、SUICAなどの電子マネーでピッとやったりクレジットカードで決済したりしている。そう言う意味で、いわゆるカラダで感知出来る3次元的なお金っていうのは無くなっていきます。だからますますお金に関して観念的になってくる。
 営業系の会社ではモチベーションを上げるために給料袋を渡したりしてますけど、これは結構大きい問題だと思うんです。お金の動きが早くなちゃうから。
 手紙とか電話でビジネスやってた時代と、今の電子メールでやっている時代では、生産性が上がったかと言うと上がってなくて、コミュニケーションコスト、情報のノイズが増えているんです。だからお金の動きが速くなっても幸せにはなれないんですよね。

 2つ目の論点は貨幣は国家を越えるかというのがポイントです。
 お金とは価値と信用を数字にしたものでですけれども、信用の土台っていうのは60年前に金本位制というものからいわゆる中央銀行制度に変わって国家がお金の信用を担保するっていうシステムになっている状態ですが、今はそれが無くなって来ていて、最近は無国籍通貨。ビットコインを中心として楽天ポイントとかイオンやTSUTAYAのポイントとか膨大なものが出て来ている。「ブロックチェーン型コイン」と言って、信用の土台が非常に堅固なセキュリティーがありますよということで価値と信用を担保している。これは国家を越えた企業体が発行している。多国籍企業が発行する貨幣の方が国家よりも強くなると、貨幣システムだけじゃなくて僕らの文化とか社会的価値観とか、あるいはヒエラルキーとかそういうものが全部変わってくる訳です。
 僕らの時代は「ネイションステート/ 国民国家」を中心にあらゆる法律、教育、文化、戦争の土台、宗教の土台が作られて来た訳だけど、何処の国に住んでいるとか何処の国に所属しているとかってあんまり関係なくなってくるんですよね。これは歴史的、文化的、文脈の問題が有るんだけれど、いずれにしても今21世紀、国民国家というものが波状してきている訳です。

 3つ目は、人類は貨幣を超えるか?っていうテーマです。要は、もう「貨幣」じゃないよねってこと。人類のコミュニケーションツールが貨幣じゃなくなるっていうすごく大きなテーマ。
 さっき言ったように貨幣の本質というのは「数字」です。例えば、インディアンと植民して来たイギリス人達がマンハッタンの土地を100ドルで売りましたとか、その頃からあらゆる民族がコミュニケーションできる「数字」という最強言語を果たして人類は克服するのか。つまり人類は「数字」を使わないでコミュニケーションできるのか?っていうことなんです。 


リエ:
 へー!してみたいですね^^


縦のお金 と 横のお金



モトカ:
 ドゥルーズ・ガタリは「貨幣は税から生まれた」と言っています。つまり、貨幣は交換よりも富を吸い上げることの方に密接に結びついている、と。
 要は信用を担保するものの背景に何があるのかということはとても重要だろうと思うんです。今の通貨は国家権力によって担保されている訳で、それが税から生まれたとするなら、有機経済、交換経済、実態経済がどんなに発展普及したとしところで結局は税金を納めなければいけない。そうした現実的なテーマに対して何かアイデアはございますか? 


山口:
 「税とは何か?」ってことだと思うんです。 
 世界は「縦の世界」と「横の世界」があるんです。共同体の中にヒエラルキーをつくって下からお金や労働力を吸い上げて、上から偉い人がそれを流すことによってインフラを作ったり社会保障をしたりする。これが「縦」の社会システムですよね。
 もう一方で「横の世界」っていうのがあって、ネットワークでみんなが繋がっている。今のインターネットの世界ではそれがとてもフィットしていて、必要なところで必要な資源を手を上げて調達する。「俺のとこ野菜が無い!」って言うと、その人の持っているクレジットやレピュテーションに合わせて野菜が届く。必要な時に横で「アロケーション / 分配」するっていう方法に変わって来ていると言っても間違いありません。クラウドファンディングやスマートグリッドの考え方ですよね。
 税が貨幣の本質だとするならば、それは縦社会において必要なコミュニケーションの在り方だけど、横社会っていうのでは、必ずしもお金じゃなくてもう一つのエネルギーの凝縮言語である「インディビジュアル」にエネルギーを貯めるという方向で社会を作ることも出来ると言えると思うんですよね。 


お金と暴力



モトカ:
 ここは重要なポイントだと思っているのですが、「縦の社会」で私たちは税を払わない自由を持っていない訳です。極論すれば、私たちは国家による合法的な暴力に屈服せざるを得ないということです。こうした「お金の暴力性」に対して、私たちはどう抗えばいいのかというアイデアは必要だと思うんです。 


山口:
 共同体の中では「秩序」というものが常に必要で、「暴力」はそのひとつの手段です。共同体全員の幸福の総数は秩序がある時と無い時と比べると、秩序がある時の方が幸福の総量が多いんじゃないかというところから暴力は正当化されるし、それによって税を取るということが正当化されるっていうことだと思うんですよね。
 アメリカのドルが強いのは軍事力を持っているからです。中国が元を刷れるのは人口を持っているからですよね。貨幣を発行するにはその前提となる何らかのパワーが必要で、貨幣はエネルギーと不可分だいうことは間違いないと思います。
 では暴力とは何か? 秩序とは何か?っていうことです。暴力とは、肉体的あるいは精神的にその人の可能性を破壊していくこと、その人の自由度を奪うことですよね。これは抽象的な考え方としては「エントロピー / 散逸構造」といって物理法則なんですよ。僕らの思考とか概念とか想念とか、物を作りたいとか形にしたい、お金を増やしたい、これは全部エントロピーの話なんです。エントロピーが拡大するのは仕方がないんです。
 エントロピーの逆はネゲントロピー (negentropy)っていうんですが、僕らのカラダがぐちゃぐちゃにならずに生命を維持しているのはネゲントロピーという引き算のパワーが働いているからなんですね。
 何が言いたいかというと、僕らが学ぶべきなのはネゲントロピー、要するにエントロピーという外に広がっていくパワーを減らす、デトックスするという作業を個人がやって行かなければならない。それが、僕らが「数字」を超えるための唯一の解決策だと思っているんです。 


アートはビジネスにならない



モトカ:
 ということは、新しいシステムを構築すること以上に、経済社会を構成する私たち一人一人の意識の転換が求められている? 


山口:
 そうですね。
 非経済なもの、より本質的なものに対する社会的な理解を高めるような社会システム、小さく言えば教育システムだと思いますけど、それ以外のどのような3次元的なエコシステムも何らそれに資するものではないと思っています。
 たとえば、殆どのアートビジネスってプロダクトビジネス、あるいはブランドビジネスであってアートビジネスではないんですよね。アートって言語化できないものだから、複製可能なプロダクトに変換している。その時点で本質は削ぎ落とされているわけ。そういう意味ではリニアモーターを作ろうが量子コンピューターを作ろうがロケットエンジンの開発をして月に行こうが、それは何らエントロピーの減少や世界平和に繋がるものではない。
 本質論として、僕らは知覚のセンスを高めることです。知覚の世界っていうのは当然言語化出来ません。従ってそこでは貨幣経済が通用しないんです。それはもう教育というか啓蒙というかリテラシーだと思っていて、そういうことによって僕らは貨幣を克服していくしかないわけなんです。体験的に知覚して、そこを高めていくことでしかない。日経ビジネスを読んでもエントロピーを拡大する方法しか教えてくれないですよ。
 「プロフェッショナル」っていう言葉は、14世紀に医者と弁護士がその言葉の意味を占めることになったんだけど、もともと情報の非対称性があって患者が知らなくての自分は知っているとお金がいくらでもとれてしまうんです。それをお金に換えてはいけませんよ、ということで職業倫理が生まれた。彼らが何をして来たかって言うと、エゴデトックス。儲けたい欲望を自分の知覚のなかで解消していくことをやらされる。これはあらゆるプロフェッショナルに言えることなんですよね。師匠に学ぶ訳ですよ。だから仕事には師匠がいて弟子がいる、メンターシステムっていうのが必要なんですよ。


モトカ:
 今おっしゃったような縦のシステムと横のシステムは、両立するのでしょうか? それとも横のシステムが縦のシステムを凌駕して行くべきだとお考えでしょうか?


山口:
 うーーん。。。まぁ感覚でいうと、オルタナティブというものはクリティカルマスを超えないんですよ。18%を超えない。だから全体の83%以上は貨幣経済がこれからも続くし、人類はそういった意味で「数字」を完全には克服しない。「数字」が無くなることは無いということですね。従って貨幣が無くなることは無い。貨幣を何処が発行するかわからないけれど、人類が最強言語であるお金を使い続けることは間違いないです。


人はネットワークで生きる



モトカ:
 ということは、幾つかの経済システムが並列しながら展開していくような社会をイメージなさっている? 


山口:
 そうですね。
 ただ、いずれどこかの時点で幸福度調査をしたくって。いわゆる貨幣経済と非貨幣経済の幸福度とか自殺率を客観的に計って、要するに有機野菜がカラダに良いように非貨幣経済がカラダに良いということを検証するっていうが僕の研究のテーマですね。 


モトカ:
 幸福って多様ですから、それをどうデザインするかは難しそうです。


山口:
 確かに、幸福は難しいですねw
 まぁただ今って自殺とか多いですけど、殆どの死因、福島の被災地で避難所の中で病気で死ぬんじゃないんですよ。人は病気とかタバコとか酒とかで死ぬんじゃなくてネットワークで死ぬんですよ。要するに孤独で死ぬんです。だから翻っていかに有機性が幸福に影響を与えているのかが分かっていますよね。


リエ:
 やっぱり、ふわふわしながら農業とかコミュニティーの中で助け合いの経済を回そうという若者達にとって、お金の実態を教えてくれるって大事だとおもうんですよ。お金にはそんな本質があったんだって分かれば、またM&Aに進む人がいるかもしれない、横の繫がりの方をやっぱりやりたいと思う人はやったらいい。ニュートラルになりたいですね。


山口:
 二つ必要ですよね。
 本当に僕が提案したいのは「時間主義」と言っているんですけれど、最終的には時間が通貨になると思っているんです。時間って有限ですから時間効率を上げるしかしかない。ということは自分の時間価値を上げる方が良い。それだけは計算した方が良いと思う。クレジットのかけ算なんです。
 もう1つは健康投資。これにはお金がかかる。本質的にプロフェッショナルに生きている人って、お金が有るか無いかでやることは変わらないんです、タクシーに乗るぐらいなんですw
 自分がコントロール出来る時間がどれだけあるかっていうことが今の時代は一番必要なんです。そのあとの時間を横社会に振り分ける。それがコツかなって思っています。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  #1 Money Changes Everything / Cyndi Lauper featuring Adam Lazzara

#2 Money In the Meter / Bing Ji Ling
#3 It's Nice to Have Money / DJ Smash
#4 You Never Give Me Your Money / The Beatles
#5 Money In The Rhymebook / Think Twice feat. Coates
#6 Fuck Money / Dela
#7 When Your Life Was Low / Joe Sample feat. Lalah Hathaway



羽ラジ

2014/09/23

『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』

今週は、経済思想家の山口揚平さんをお迎えして羽ラジ的貨幣論をお届けします。

〜 山口揚平さん プロフィール 〜
大手コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わった後、独立・起業。
経済思想家。起業家。ブルー・マーリン・パートナーズ株式会社代表取締役。
現在、東京大学大学院生として専門の貨幣論を研究をしながら執筆、大学講師、講演など精力的に活動なさっています。
最近ではロボットによる月面探査に挑戦する、日本初の民間宇宙開発チーム『ハクト』に財務担当として参加。
ますます今後の活動から目が離せない方です。



アートとビジネスを繫ぐもの



モトカ:

 『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』というタイトルは計算されていますね。タイトル自体が素晴らしいコピーになっています。


山口:
 貨幣論はずっと研究していて、僕の友達で『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』の担当者だった加藤さんっていうヒットメーカーがいるんですけど、彼が「これはいい本なのでタイトルを練りましょう」って言ってくれて、それでこういうタイトルになってんです。
 でも芸術の本だと思って買われた方が、貨幣論の本だったから騙された的なコメントがアマゾンとかにあったりする。(笑)


モトカ:
 私はこのタイトルにはどんな人に読んでもらいたいかっていうことも含まれていると思ったんですけどねぇ。
 ゴッホやピカソはアーティストですから、これから世に出ようとしている若きアーティストたちに向けてのマネタイズ指南の本だ、って私はピンと来たんですね。



山口:
 本当にそこが21世紀の論点だと思っているんです。
 いわゆる「アートの世界」と「ビジネスの世界」があって、「アートの世界」は無理数、要するに分解出来ない主観的な、非言語の、イメージの世界ですよね。「ビジネスの世界」は整数、分解して理解出来て、言語化出来る客観の世界。二つの世界を繋ぐには「デザイン」ということが鍵になっていて、一番難しい所だと思うんです。 
 みんな主観の世界で好きなことをやって生きて行きたいんですよね、それは自分だけが分かる世界で非経済。そして客観の世界は誰もが分かる数字と論理の、言葉で理解できる世界。ここはコミュニケーションが出来る世界なので、両方をどう繋げるか、本当に繋げられるのかっていうのが、今日お話する貨幣論でも一番難しいんですよね。



「お金」という言語



モトカ:
 著書では「お金のピラミッド」という図で示してらっしゃいます。「使命が転じて価値となり、価値が変じてお金になる」と。
 これはアーティストに限らず、自分なりの表現をしていくにあたっての内的衝動として「使命」にフォーカスせよという、とても勇気づけられる提案ですね。


山口:
 経済学の歴史を追っていくと16世紀カルヴァン派に遡って、プロテスタンティズムの倫理が資本主義の精神に引き継がれていく考え方なんです。
 もともと人とは「神の触媒」であり「透明なメディア」である。神の魂の意図を顕在化させるためのメディアとして自分を見てゆくんです。そうすると、物質の最終形として最もヴィヴィッドな形が「お金」なんですよ。お金っていうのは顕在化された物質の王様。「顕在化」っていうのは誰もが分かるってことなんです。  
 じゃあ「お金ってなんですか?」っていうと、お金は「価値」と「信用」を数字にしたものなんです。もっと単純に言ったら「数字」なんですね。
 じゃあ数字って何かというと、世界80億人の誰もが出来る「言語」なんですよ。 


リエ:
 言語なんですか! 


山口:
 最強言語なんです。誰もが理解できる言語。
 だから資本主義が共産主義に勝ったのは当然で、世界が一つになるには、誰もが理解できる数字=お金で「コミュニケーション」しようということになったんです。お金でのコミュニケーションは、より多くの人とコミュニケーション出来る。100万円は100万円ですから、誤解が発生しない。一番摩擦がないんです。
 だから男女の別れは最後お金で決着付けるわけですよねw


リエ:
 あははは!!!なるほど!


山口:
 ただし、お金っていう言語は「ローコンテクスト」と言って物語を伝えることが難しいんですね。例えば100万円あったととして、その100万円がどういう風に出来たのか?東北の復興で全部流された漁業組合がホタテの栽培を3年かけてやり抜いて手にした100万円と、ちょっと上場株を買って3日で上がった100万円と、そこにはストーリー・コンテクストに違いがある。そう言う意味で数字というのは全くコンテクストを持てない言語なんです。これが資本主義の一番の弊害なんですね。
 よく格差が弊害だと言っていますが実はそうではなくて、コンテクストをもうぶった切るときにお金を使う訳ですよ。いやこれは、本当に大事な事なんですよw 
 ビジネスって結局は早く回して、お金を作っていく訳でしょう?そういう時に、社員1万人の会社があったとしたら1万人の人々の想いをもとにやっていたら前に進まない。だからお給料っていう仕組みがあるんですね。ローコンテクストを使ってお金で回そうという訳なんです。



物語を売る



モトカ:
 お金はコミュニケーションツールであるということを書かれていますね。お金を媒体とした交換の中に「物語」を持ち込もう、と。 


山口:
 そうですね。お金はアミノ酸と一緒なので、何か別のものと結合しないと「価値」が生まれないと考えています。


モトカ:
 ピカソは新作が出来ると画商を何人も呼んで新作を見せながらそのストーリーを語る、というエピソードは面白いですね。


山口:
 そうそう。ピカソはまず絵をカバーで覆ったまま3時間だらだらとしゃべるんです、先に。絵を見せないで。まぁ、なんと言うか絵がうまい以上のビジネスの才能、コミュニケーションの才能があったわけですね。で、こういう物語で、こんな背景があって…としゃべった後に、おもむろにバサーーと覆いを取って絵を見せる。 
 そこには画商がいっぱい来ていて、「あいつが買うなら、俺も買う」と競わせる。するとどんどん絵の値段が上がる。値段が上がると「価値」が高いように見えるのでますます値段が上がる。

 

モトカ:
 要するにセルフプロデュースということでしょうか。


山口:
 そうですね。ピカソには画商が必要なかった。アトリエで売るのが一番「物語」を伝えられますからね。
 プロダクトじゃなくてプロセスを売るっていうのは、21世紀に重要なことです。物ではなくて物語を、プロダクトじゃなくてプロセスを売る。


モトカ:
 ピカソのエピソードでもう一つ面白いなと思ったのが、日常の買い物を全て小切手で支払ったとか。


山口:
 そうなんです。ピカソは自分に名声が有ることを知っていた。だから例えば乾物屋の親父でさえもピカソを知っている。
 小切手は銀行に持っていくとお金に換えられるんですが、ピカソのサインが入っている小切手だから銀行に持っていって変えるよりも家に飾っておこうと思う訳ですね。そうすると、ピカソとしては銀行に小切手が持込まれないから預金は引き落とされない。ってことはタダで手に入るということです。
 これは「評価経済」と言われていることなんです。マネタイズをしないでお金を手に入れる方法ですよね。要するにお金を使わないんですよ。実は「株」って評価経済なんです。株価が上がったり下がったりというのは、会社の「人気」が上がったり下がったりしているのを「価値」と言っている。
 いま僕らはfacebookで繋がってしまっていたり、食べログがあったり、つまり上場しているということなんです。『食べログ』ならぬ『人ログ』が出来ているんですね。僕なんか会う前にすぐ検索されてしまう訳ですよ。
 そうそう、google検索でサポート検索の言葉が出てくるじゃない? あれが怖くてさ(笑) あのgoogle先生に逆らったら生きていけない訳ですよ。もし離婚とかしようものなら「ヤマグチヨウヘイ 離婚」とかずっと出てくる訳w だから結婚出来ないのw



「お金」についての3ヶ条


モトカ:
 ピカソみたいに有名ではない私たちが、小切手にサインしただけで「価値」を生むようになるにはどうしたら良いと思いますか?


山口:
 僕も「アーティストのためのビジネスモデル講座」っていうのをやっているんですけど、今日もここまでに3つのことを言っています。
 1つ目は、物でなくて物語を。
 ピカソがやったようにプロセスを見せて背景を売る。例えばクラウドファンディングだって、物語にはお金を払って物は買わない。だからアーティストも、自分がなぜそれを描くのか原体験を分かりやすくストーリーにして説明していくということがとても重要。就活したくないって言うけれど、原点の棚卸というのをしなければならない。そのストーリーを分かち合いましょうということなんですね。ディズニーランドなどが良い例ですね。  

 2つ目は、お金をやっぱりもらわなければならない。マネタイズ。
 たとえば、絵を描く人がお金ないと絵の具買えないからね。僕芸大目指したんですけど、あれ、本当にお金かかるんですよね。
 で、これはいろんなもらい方があるんです。それをプロフィットモデルと言うんですが、これを沢山作らなければならない。お金を回すためには会員でもいいし、絵画教室でも撮影会でも似顔絵でもプログラミングでも、あるいはアイコンを作って上げるのもいいし、アプリ開発でもいいし、何でも良いの。自分がアートを描くことの周辺にプロフィットモデルを沢山作ること。

 一番重要なのは、お金っていうものにニュートラルでいること。 
 アーティストっていうのは基本的に自分の主観的な世界に住んでいるんです。僕もアート気質なのでよく分かるけど、それは非常に神聖なものなんですね。だからアートではなくてプロダクトの世界、言語化できる客観の世界が嫌いなんですよね。体育会系と文化系の戦いってかんじですね。リア充と非リアみたいな。分かれちゃってるんですよね。その「嫌悪感」というようなものに対して心の中で克服しなきゃならない。僕たちはカラダを持って生まれている以上、数字という最終言語をもって、自分の世界じゃない世界とコミュニケーションしなければならない。
 開き直りですかね。割り切りかな。これが3つ目。



お金儲けは才能か?


モトカ:
 さて、「価値」と「価格」とは必ずしも一致しないことが往々にしてあります。どのように説明できるでしょうか?


山口:
 「価値」と「価格」っていうのは、本質的に全くパラダイムが違う世界にあるんです。「価値」は個別・固有の瞬間美であって、決して言語化できないものなんです。
 だから「価値」と「価格」が一致することは無いと僕は思います。ま、瞬間的に一致することはあるけれど。
 

モトカ:
 とすると、「価格」とは何に対して設定しているのでしょう?


山口:
 「価格」はニーズの引力です。
 昔ラジオで福山雅治さんが言っていたんです。「成功するにはどうしたらいいですか?」「波に乗ることです」なるほどねー、と。 
 これは経営能力があるとかではなくて、社会・顧客の求めているものに対して主観を排除して淡々と客観的にやること。これが、お金を稼ぐ時には必要なんだと思います。

  

モトカ:
 「引力」ですかw
 やっぱり何らかの隠然たる「力」が存在しますよね。私のボキャブラリーで言うなら「呪力」というような力学。ピカソにしても、そういう魔術的な力で自分を演出したように思うんです。


山口:
 僕は学歴とか役に立たないと思っていて、ストリート・スマートと言うんですけれども現場で生きて行く力というのが大事で、やっぱり直感でそれをする人がいますよね。どういう方向に引力・重力が働いているかを良いタイミングで見抜いて、良い感じで控えている人。
 

モトカ:
 それは才能なのでしょうか? 


山口:
 才能と言うかは分からないけれども、「知覚力」と「効率的に遂行する力」の二つだと思っています。 
 どこにどういう気が溜まっているかを知覚する能力。これに関しては謙虚さと好奇心を持っていると磨かれるセンスだと思う。要するにオープンマインドってことだと思うけど、天性のものじゃなくて技術だと僕は思いますよ。
 ステップ・バイ・ステップで透明度を増して我を落とす。 結局は「自分とは何か?」っていうことの定義を少しづつ変えていくことなんだよね。そうして世界に関しての感度を増していく。
 95%の人は、自分が考えた結果が溜まった「記憶の結晶体」のことを自分だと思っているんです。そこにトラウマとかが溜まっていたりする。


リエ:
 記憶の結晶体...。


山口:
 「今、辛いな」とか「腹減ったー」っていう状態を自分だと思っている。でもね、それは違うんですよ。そうじゃなくて、考えること、感じることをやっている主体がいるということにどこかで気がつくんです。


リエ:
 主体がいるんだと...?


山口:
 その主体が感じた結果が、「腹減った」とか「気分が悪い」とか「俺ってダメだ」とか。それは思考の結果。
 つまり多くの人は、もわもわっとした火山の吹き出し口から出ている煙を自分だと思っている。吹き出している結果をね。だけど本当は吹き出し口を覗いて見ることが大事。映画でいえば、スクリーンじゃなくて映写機を見る。 


モトカ:
 ヨガ的な感覚ですね。主体を客観視して自己を内省すると言うか、今起きている出来事をありのまま感じきるっていうような。


山口:
 まさにそうですね! 
 僕のかつての上司はいつもニコニコしていて、最終的には出世して社長になるんですけど、彼女は何が違うかというと自分をコントロールできている訳です。自分が辛い時に、自分が辛い状況を俯瞰出来ている訳です。彼女は非常にクレバーな人でしたから、自分に出て来ている感情を認知していて、感情と意識が一体化してないんです。自分の意識や知覚の焦点はもっと裏側にあるから、今自分がどういう風に感じているかを客観的に把握できてるんです。これがすごいなーと思って。 
 それはビジネスマンとして最大の強さだと思う。コミュニケーションしやすいですよね。



「使命」について


モトカ:
 今の話にちょっと繋がるんですけど、自分が置かれている立場や環境において「今やるべきこと」というのは、往々にして「使命」と呼ぶべきものとは微妙にズレることがあります。


山口:
 うーん...。僕は、やることが自然な方を選択するようにしてる。絶対に罪悪感や義務感で動かない!
 なので、それ以外は捨てるw


リエ:
 つまり、開き直るということですか?ww 


山口:
 捨てたとたんに、自然に出てくるものがるんですよ。
 僕もできてないけれども「存在の肯定感」っていのを大切にして、自然な衝動に従っていく。その自然さっていうのは自分の知覚レベルで、それをすることが存在の意図に従うっていう感じなんですけど、これを出来るだけ選択していくのが良いんじゃないかと思っているんです。
 自己俯瞰することによって、感情とか思考のアウトプットが明らかになって客観視できるので、意識が奪われることが無い。意識を奪われて行うよりは、行動しないで自分の意識の焦点を存在の本質の一番近い所においておく。


リエ:
 削ぎ落としていくような感じですか?


山口:
 大きな意思決定だね。
 みんなが罪悪感とか同調欲求とか、ローコンテクストで行動したとするじゃない? そうすると、ハイコンテクストで行動する人が楽なんだよね。要するに社会にフリーライドしている訳、そういう人は。


モトカ:
 俯瞰して見たものはスタティックじゃないってことですね。動的な流れがあって、その潮目にあるものを見ていくことが大切なんでしょうね。 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  #1 SOLID SLIDER / 山下達郎
#2 Bop-Be / Keith Jarrett
#3 Smooth Operator / Sade
#4 The Tea Leaf Prophecy / Herbie Hancock Feat. Joni Mitchell
#5 Caribbean Girl / Mario Basanov
#6 (You are) More Than Paradise / Port Of Notes
#7 Once I Loves / John Tropea
#8 Slippin' Into Darkness/ Marcus Miller
#9 A Thousand Years / Christina Perri
羽ラジ

2014/07/22

平凡な覚醒についての小編

『ユーコの蒼い夜』 
#1 予感 
 寝室のナオトはもう寝息を、いつもながら平穏な重低音で、響か
せていたのでドアをそっと、閉めた。私は描きかけのデッサンをも
う一息で仕上げようとしている。足元をリリィが、白い尾を擦り寄
せながら通り過ぎ、窓に寄せた小さな棚の上、私の蒼い石に飛び乗
って丸くなった。夏至に近い満月は地球を最も近く周回し、今や日
付変更線を通り越し天頂を、過ぎて、西向きの私の窓辺に光線を下
ろしている。深い夜は好きだ。増幅された魂がゆらいでいる。この
宇宙はゆらぎから相転移して弾けて生まれた、その残響が今夜も聞
こえる。遠いのか、近いのか、内なのか外なのか、おそらくリリィ
もそれを聞いている。予感、とはそういう類のものなのだ。予感を
頼りに人は命を運び、作家は言葉を紡ぎ私は、線を引き色を乗せ画
を描く。朝までに下絵を仕上げて週明けのミーティングに、心を準
備しよう。編集者からの〆切はいつも期限の一週間前を指定してい
る、それはもちろん承知している。予感、の解読に十分な時間を私
は費やしたいのだ。原稿をスキャンする、電源が入らない。あぁま
たリリィだ。ケーブルを辿る私を素知らぬ顔でリリィが眺めている、
どうしてネコは愚にもつかないものばかり齧るのか。
 仕方がない、お月見がてらコンビニまで歩こう、FAXを送りに。
まだ起きているだろう担当者にメールをすると直ぐに了解と気さく
な返信が届いた、続けて鳴ったアラートはマリからのいつもの深夜
通信だった、新しいバンドでレコーディングするからイラストを添
えてくれないかと。マリはいつも私の予感を鋭敏に察知する。わか
ったよ、お月見しながら考えておくね。 
#2 輪郭 
 リリィが抱え込んだ蒼いペンダントヘッドを、取り上げて、胸に
結び、デッサンのファイルを抱えて私は部屋を出た。満月は高く君
臨し、輝度を保って建物の輪郭を極めている、レースのカーディガ
ン越しに風が湿度を忍ばせて夏の、予感がたちこめる。スニーカー
を久しぶりに履いた。装備は身軽に、ポーチをアミダに掛けて。あ
っ鍵を忘れた。マンションのエントランスはオートロックでナオト
を無粋に呼び起こすのは、酷だ、月の夜を楽しもう。
 私はいつも何かが、足りない。要するに私は自信がないのだ、い
や根拠のない自信ならある、ずっとそうだった。夜毎マリと語り明
かしたのはその不確かな自信をせめて、衝動に置き換えて手繰り寄
せようとする実験のような季節だった。マリは、歌い手で、私は絵
を描く。モノを生む為に我が身に宿される何か、について私たちは
いつも遠回りな方法で確かめ合っていた、私は、宿すことを怖いと
感じている、それを認めたくないのだけれど自分ではないモノを懐
胎する度に魂は異界へ、連れ去られるのだ、それは覚悟を私に突き
つける。月は足下に、陰を描かない、夜は私を安心させる。
 私の魂は輪郭が曖昧だから黒い声がときおり忍び寄る、今夜も、
神社を横切れば近いけれど足が向かない、街灯が暗いせいではない、
界を結ぶ隠然とした重力に私の何かが抗うのだ。広い空を求めて公
園まで足を伸ばしベンチに腰を下ろした。習慣のように携帯を開く、
つもりがポーチの中にそれが無い、やっ忘れた。満月は手放すのに
うってつけの日。うっかりが過ぎる自分を慰めよう。 
#3 衝動 
 蒼白い満月は左から3本目の梢へと傾きながらメタリックな雲の
ホワイトにドロップシャドウを施している、なんだかCGみたいだ私
なら鉛筆モードで、などと、妄想する癖を私は嫌いではない、物心
つくよりも先に描き始めていたことを誇りにすら思っている。見え
ているもの、とアリノママとは互いに異次元の国に住む。その橋渡
しなのだと思う、私にとって描くことは。
 タンッ、とベンチが小さく揺れて身構えた。ネコだった。精悍な
子だ。白く嫋やかなリリィに見慣れているからそう思うのだろうか、
モノクロの虎柄は斜辺の丸い直角三角形のシルエットで私を見つめ
ている、リリィのような目で。あぁそうなの?キミもこの蒼い石が
好きなの?当てもなくノートを広げスプーンのようなふたつの耳や
零れた星の軌跡のような髭や署名のように添えられた尻尾などをデ
ッサンする、いつだって唐突に脈絡もなく連想は線を結び像を描く、
そうだ私はいつも描いていた、なんでも何にでも、描きなぐってい
た。絶叫のような白い声がいつも突然訪れて、強大な力で、私を突
き流すのだ見知らぬ畔へ、連れ去られて呆然と、ここは何処なのか
私は誰なのか、描くことでせめて生の鼓動を確かめるのだった。衝
動、という語を大人になって知ったけれどその正体は今も知らない。
 ネコは不意に身構えて横顔を低く一点に集中させた。そうだきっ
と私はあんな目をしているんだ、外ではなく内へ向けて、口数の少
ないお絵描き好きという幻影のウラ側で獰猛な白い牙に、魘されて
いるのだ。
 何を見つけたの?行ってらっしゃい。ネコは暗闇を駆けて行った、
真直ぐに、全速力で、あの子には何が見えているんだろう。覚悟、
なのかも知れない、生きることは自分を拠り所にする以外に座標が
ないのだから。 
#4 瞑想 
 ネコは何かを咥えて戻ってきた。獲物を、わざわざ私の視界に運
んでチャラリと落とし、抱えるように丸くなった、誇らしげに。ち
ょっと何それ?誰かの鍵じゃない。数珠のような石がキーホルダー
に付いていた。見せて頂戴、と拾おうとすると再び咥えて歩き出す。
逃げるのかと思うと、そのまま芝生の縁でコチラを誘うようにふり
返っている。仕方がない付き合うかと腰を上げネコに従うと、植え
込みの向こう、平らかに開けた芝の中央あたり、蓮華座に座る人影
があってハッとした。いつからそこにいたのだろう。気配、を抑え
て私はその背中に見入った。神社の黒い結界とは対称的に、彼の瞑
想は蒼い月の下で繭のように守られた抱擁を、白く放っていた。雲
の影が彼を避けるように芝を渡った。もしかしたらこんな風に呼吸
だけにフォーカスされた楽園が私の中心にもあって、白い声を放射
しているのかも知れない。それは特別なことではなく彼もきっと、
あの声が聞こえているのだと思う。
 風が立って、瞑想の結界を破るようにネコが走った、対角に芝を
駆け抜け、中心の蓮華座に鍵を投下し、奇襲された男は左回りに体
を開いて滑らかにネコの軌跡を追った。その視線を導くように、最
初に戻って私の手前でネコは伏せた。通り雨のようなシークエンス
が去って、清められた沈黙が彼とネコと私を結んだ。彼は私の視線
に、驚かず、月を見上げた。さっきより湿度を宿した白い月だった。 
#5 邂逅 
 ただそれだけの出来事だった。彼の声もネコの寝所も私は、知ら
ない。一瞬の目配せだったけれど、同じ月を見上げたことをきっと
私は生まれ変わっても覚えているだろう。邂逅、とはこの宇宙を織
り成す無数の糸と糸の紡ぎ目なのだと思う。私たちはそれぞれに孤
独だけれども連鎖している、手探りだけれど、ときおり雷光が地平
を照らす瞬間があってそれを頼りに人は暗闇を走るのだ。
 コンビニで要を足して外へ出ると、空が光って、雨がぽつりと降
り出した。帰りは濡れても構わない、ナオトを起こそう。ユーコは
本当に雨女だなぁと笑うだろう。マリには勇気と出逢った話をしよ
う、どうせまたアバンチュールを逃したと呆れられるのだろうけど。 
(文 / モトカ)編集工学研究所 30破 アリス大賞受賞作品 
 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  #1 I'd Rather Be High / David Bowie
#2 sea / Spangle call Lilli line
#3 Summer Gypsy / Nujabes
#4 You've Changed / Margot B.
#5 Open Arms / 樹里からん
#6 Screamadelica / Primal Scream
#7 This Could Be The Night / 山下達郎

羽ラジ

2014/06/24

占い師のフットサル



占い師のフットサル

R)
人生で初めてフットサルをして来ました。モトカさんやった事あります?
 
M)
昔子ども達に交じってビーチサンダルでやったけど、サンダルが飛んで行っちゃった。
やってみて分かったけど、格闘技だよね。ずっと走り回っているし。
ボールをもつと人が押し寄せてくるじゃない?こわいんだよねー!

R)
そうそう、ボールに人が群がってくるんですよね。
でも、たまにスポーツするといいですね!とても楽しかったです。
何がいいって、身体を動かす事もそうなんですけれど、人とのコミュニケーションが会話以上にできるんだなって事ですかね。
実はとてもおもしろいメンバー構成で、『全員占い師』という縛りだったんですよー!
スポーツと占いという、絶対に合い交えないんじゃないかという内容のメンバー構成で。 
というか、何で私がそこに出ているのか?って感じですけどね。(笑

M)
占い師さんだけのフットサル大会ってどんなノリなの・・・?

R)
意外と普通の人ですよw
運動は自分の庭じゃないので、少しやりにくかったのかなという感じだったんですが、みなさん明るく、素直で素朴な素敵な方々でしたよ! 

M)
どうして占い師さんになったとか、聞いたりした?

R)
聞いてきましたよー! その場にいる全員が占い師さんだと、何でだろうって思いますよね・・・ 
実際、そんなに理由という理由はないのかもしれません。 
もともと興味があって、いつの間にか占い師になっていたというかたが多かったかなw
占いによって、人生が少し変わって見えたという経験をされた方もいましたね。

M)
使っているツールって皆さんバラバラなの?

R)
バラバラでしたが、共通もしていて組み合わせて占っていらっしゃるそうです。 
手相もやるけど、占星術も出来るとか、宿曜占星術、ルーンっていう不思議なのもありました。
あと、サビアン占星術っていうポエムで占いうものもありましたね! なんかおしゃれですよね、ポエムを使って悩みを解決、みたいな。

M)
占い師さんて、文章力もトーク力もかなり必要だよね。 

R)
みなさん本当に思いやりがあるんだとおもいました。
あるからこそ、沢山の人のお悩みを聴いていられたり、一緒に問題解決のきっかけを導いたりとか、相手の心の中の『未来の扉』を一緒に開けるためのサポートをしていると思いました。

M)
寄り添ってサポートするんだね。

R)
がっつり怒る!という人もいましたよ! 
それに、お互い占いのマニア同士だから会話はとっっっっても楽しかったですよ!
お互いに占い合ったり、何占いをしているのか?生年月日は?という切り口で、まず会話が始まるw

M)
なるほどね!占い師さんだって自分のことは誰かに委ねるんだね。
鏡になる存在が必要なのかな。

R)
誰でも自分の事は見えないんですよね。
ただ、どの占い師さんがいい、という話では無くて、占い師さんとの出会いはご縁だなと思います。 
ピンときたら出会いだと思って受けてみたらいいんだと思います! 
どんな人とも、お隣の席に座るのだってご縁ですしね。

M)
そうだよね〜〜
あなたの事を
もう少し 教えて
もう少し 聴かせて 
せっかくなら
時間も 空間も 反転するくらいの 
知らない 本当の あなたに触れてみたい
大切にしているものはなに? 
本当の気持ちは? 
お互いに 忘れてしまっている
記憶を 一緒に呼び醒ませるかもしれない
デタラメと矛盾と、かっこ悪くて可愛い  素直さ
そんな自分 
・・・・・・・・
素直な本当の気持ち
一人より二人で それを見せ合えば
わたしとあなたは違うから 
それぞれの感覚が
体に残る
触れてみたら 
きっと ずっと もっと・・・ 
(rie)

背中を押す勇気

M)
女性はどうして占いを好きなんだと思う?

R)
女性は、すごく色んな感性を働かせて、直感を感じ取って生きているんだと思うんです。
そんな中で、自分の感じている事が、誰かに取って言ったら失礼になるかな?という気づきがあったとますよね。
そんなときに例えば占いを使ってみることで、その自分の気付きの『裏付け』を得られるのが占いなのかなって思います。
占いにゆだねるんじゃ無くて、自分の感じている気付きに対して、背中を押す勇気をもらうって感じゃないですかね? 

M)
裏付けかー!なるほどね。
私も何度か占ってもらった事があったんだけど、そうだね、裏付けがほしかったんだね〜。  

R)
いい事を言われようが、ちょっとびっくりする事を言われようが、
どちらでも、自分自身が『腑に落ちれば』いいのかなって、私は思っています。

M)
私ね、そのとき占い師さんに、自分の中で迷いながらも決めていた方向を否定されたのね。
『そっちへいったら、3次元的にはよくないですよ』って。
で、むしろその言葉がすごく腑に落ちて、結局ダメって言われた方を選んだの!
でもそれで良かったと今では思っているんだよね。
一年後くらいに、その占い師さんにまたお願いしようとおもったら断られちゃったけど。ww
『モトカさんは、どうせ僕の言う方向には行かないからw』って!

R)
占い師さんの方からですかー! なるほど、モトカさんがあまのじゃくなんですね!
私といっしょですね・・・w

M)
方向性を決断する助けにはなったんだし、それはそれでよかったのよ。(笑


腑に落ちる

M)
なにか助言されるときって、相性ってあるよね?

R)
ありますね、でも、私とモトカさんにとっては相性もなにも無いですよね。
言うこと聴かないんだからw

M)
あはは、自分で感じたいんだよね。
自分で体験して腑に落とす感じ。本当に腑に落ちて行かないと、物事って納まる所に納まらない。
なんだか、私はそういうのを体験していく人生だなー

R)
あはは! 私もそうですねー体験したい派です! 
周りからは危なっかしくてしょうがないみたいですよね。

M)
そういうやり方をしていると、痛い想いもするでしょう・・・?!

R)
うふふ、何回もして来ましたね!
痛いの感じたかったら感じればいいし、そうやって感覚の精度が高まっていったら冷静に自分で納得して選択出来るようにはなったかなって思います。 
手触り、肌触り、それから触れる前の雰囲気だったりを感じるのが大事だと思いますね。


「織り成す」という語が好きです。 


 時間も、空間も、 
 人も、コトも、 
 社会だって、歴史だって、 
 コトバだって、数字だって、 
 恋も、諍いも、 
 ネコも、トマトも、 
 銀河だって、アミノ酸だって、 
 セーターだって、ゆびきりだって、 

みんなみんな、織り成されたユニティだ。  

 「過去って、変えられないよね」 
 「意味は、変えられるよ」 

無数の糸が織り成されて"現在"があるとしたら、 
"未来"を編むのも、”過去”をほどくのも、 
途切れることのない永遠の連鎖。 

 私に出来ること。 
 私がやるべきこと。 
 私がやりたいこと。 

それは、とりもなおさず、 
私にとっての 過去 現在 未来。。 

 過去の意味 が変えられるように、 
 未来の記憶 を辿る旅だって、ある。
(motoka)

触れば伝わる

M)
皮膚って、脳や神経と同じ外胚葉から分化するから、脳と一緒で考える役割をするんだってね!
R)
わー皮膚さん、考えています。みたいな、なんだかかわいい!!
いや、でもまさに占い師さん、おっしゃっていましたよ。手相は脳の模様だって。右脳と左脳の変化のしわを見ているって。
感じて来た事、考えて来た事、実行してきた事、プログラミングされいる自分の感覚が右手。
左手は、これから変わって行くであろう可能性を示しているそうなんですよね!
そういわれたら、新しいフレーム(視点)が出来ました。占いじゃないんだ!脳科学なんだ!って。
占いがワンランク上の物になりましたw

M)
ってことは、触れ合うって脳と脳をくっつけ合っているってことなんだね!?
すごいーー!
触れ合うと伝わっちゃうよね、自分の気持ちもばれちゃうし、嘘付けないね!

R)
ばれちゃいますねー笑♪


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#1 Showered / さにお feat,初音ミク
#2 Laughter in the Rain / Soul Bossa Trio
#3 One On One / The Birds and the Bee
#4 Raindrops Keep Falling On My Head / Valerie Joyce
#5 With a Little Luck / Wings
#6 East of the Sun / 首里フジコ
#7 Now You're Not Here / かとうあすか
#8 This Sweet Love / James Yuill 
  

羽ラジ

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2014/06/17

雨の日に想うこと


うっとりする記憶


M)
湿度が高いと、皮膚感覚がなんだか深くなって、その中でうっとりする感じ結構好きなんだよね。

R)
うっとりする感じ、分かります〜私雨好きですよ。

M)
心地よく酔えるっていいよね。

R)
私もそこしか求めてないですね!
心地よい会話が出来ると、お食事もおいくなるし、それがのちのちいい記憶が残って行くので。

M)
イイネー快感の記憶だけ積み重ねて♡
素敵な人生だね〜〜! 

R)
そう過ごして行きたいのは、これからも変わらないですね。

M)
度を越そうと思った事って無いの?
快感て、麻薬的になるじゃない? 

R)
快感かー 忘れられなくなる感覚とかって事ですよね。
うわーもしかしたら、自分でストップしているのかもしれないー>< 
それか、まだ本当の快感、強烈に記憶に残るものと出会ってないとか?w 

M)
でもさ、結構りえちゃんもいろんな旅をしたりとか、飛び込んで行く芸風じゃない?
何がモチベーションだったのかな? 

R)
そういわれれば、私が飛び込んで行くときに忘れられない感としてあるのは、恐怖でしたね。 
実は、怖くて怖くて仕方が無いものに向かうというのが、快感だった事があって・・・
結構マゾw 『ドラマ性』を選んでしまっていた時期でしたね。 

M)
ドキドキが快感だったんだー
そのドキドキを見つけたくて、飛び込んで行ってたんだ! チャレンジャーだなー

R)
チャレンジャーしてましたねー。 体力が有り余っていたんじゃないですか? 
今はもういいわ、って感じですけど。 

M)
過去形にしないで〜〜w 

R)
新たなドキドキは探しているんですけど! 



「触覚」で聴いている


M)雨の日ってさ、閉ざされている感ってあって、
私、結構その感覚好きなの。うっとりする♪

R)
うっとり! いい言葉ですね〜
すごく五感を使って感じて、身体で覚えているんですね。 

M)
りえちゃんはどんな時に、うっとりする? 

R)
うっとりですか、私は自分の五感で考えると、身体のトリートメントとかはうっとりしますね。
アロマのボディマッサージとか。  

M)
肌にしみ込んでく感覚って気持ちいいよね。
私も人の身体に触れる仕事をしてるんだけれども、使っているのは「聴覚」なの。その人の音を聞いているんだよね。音っていうよりも響いてくる感じかな。触れながら響き始めるのを待っている感じ。
肉体って『物』だから、重心があるじゃない?頭蓋骨の『重力的中心点』ていうか、そこに向かってアクセス(ヘッドマッサージ)すると鳴り始めるの。
その『鳴り』って誰でも持っていて、それぞれに固有の周波数があるんだと思うの。日々の暮らしの中でその周波数が少しぶれたりするんだろうね。それが『その人の周波数』でちゃんと鳴り始めると自分らしさを取り戻せるんだろうなって私は理解してる。
それでその鳴りの中心点を探っていくと、頭の中から響きが立ち現れてくるのを感じるという・・・

R)
へー響き始めるのを待っているんですね。

M)
なんとも説明しようがないし、ラジオで話してもそこまで通じるか分からないんだけど『人を横にして叩くから、命と書くんです』って言った整体師さんがいてね。すごく感動した。
本当にクライアントさんを寝かせて叩くの! しかもかかと落としでw 

R)
かかと落とし?!  どんな整体師さんですか?!

M)
私一度受けたんだけど、すごく響くのよー!
その方は一撃でならすんだけど、私の場合は長い時間をかけて相手が響きだすのを待っているのよね。
どっちがいいのか分からないけどw

R)
鳴らせてみようモトカギス(笑




伝わらないけど響くこと


M)
自分の内側で起きている感覚の話って、多分伝わってないと思うんだよね。 
私こうしてラジオとかで発信する側のお役目を頂いているんだけど、人に何かを伝えていくのに際して、『人には分かってもらえなくてもいい!』っていう大前提があるの。分かってもらえるように情報の体裁を整えていくと、たとえそれが伝わったところで最初に伝えたかった事や感覚がドンドン変容してしまう気がして。
自分の感覚に正直でありたいから、分からなくてもいいからなるべく自分の感覚に素のまま伝えようと思っている。

R)
自分の内側の事って、伝えたい人、分かる人にだけ始めは伝わればいいのかなって思いますよね。

M)
そうだね、伝わらない人のは伝わらないよね。 
でもこれは悲観的に言っている訳じゃなくて、それでも伝わる人がいるんだよね!
その奇跡的な出会いが響き合ったときの力って、大きな勇気を生むんだよね^^
「私一人じゃなかったんだ」ってね!

R)
分かります!
先日、私一人じゃなかったんだ!という経験とそれによって心を奪われる経験がリンクする事があったんです。
電車の中でお隣に座っていた大学生がすごく落ち着かない男の子だったんですね。
とにかく落ち着かなかったんで、最近の子はこんななのかな?なんんてふと考えてしまったんですが、
ふと気付くと、あちらから空き缶が転がってきて、次が降りる駅だったので拾おうとしたんです。
そうしたら、その落ち着かない彼がさっと美しく缶を拾い上げて颯爽と電車を降りて行ったんです。
ゴミを拾おうと思っていたのは車内で私だけじゃなかったんだ!って感動したと同時に、美しいものを見てしまって心が奪われたんです。
走って行って『ありがとう』と声を書けたかったんですが、急に声をかけたら変かなって思って出来なかった・・・
今考えたら言えば良かったなー><
次回同じ事があったら、声をかけるようにします!

M)
そうだよ〜〜左巻きですり寄って行ってさ♪宇宙は左巻きで連なっているからね^^ 
きっとその缶も左巻きで近寄って来たのかもしれないね! 

R)
そうかもしれないですねー! 渦って面白いな♪


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#1 Magnetising / Marsmobil
#2 Fah / Giulietta Machine
#3 Where is God? What is Living / Choro Azul
#4 Another Rainy Day / Corinne Bailey Rae
#5 Somewhere Over the Rainbow 〜 What a Wonderful World / Israel Kamakawiwo'ole
#6 Osmosis / Oceanuants
#7 Places We're Trying to Find / I Am Robot and Proud
  

羽ラジ

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