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2015/09/22

羽ラジ的貨幣論

人類は「貨幣」を超えられるか。
アートと貨幣 / 物語る貨幣 / 貨幣のムコウ / 暴力と貨幣 / オルタナティヴな貨幣




[Tunes on Air]

#1 カモン諭吉 / 打首獄門同好会
#2 You Never Give Me Your Money / The Beatles
#3 Money In The Rhymebook / Think Twice feat. Coates
#4 Money In The Meter / Bing Ji Ling
#5 Money Changes Everything / Cyndi Lauper featuring Adam Lazzara


2015/09/08

炭素循環農法 #2

自然力X(エックス)の正体 / 循環と流通 / 種か畑か / 「自然」のゆらぎと底力

[Tunes on Air]
#1 Blowin’ in the Wind / Stevie Wonder
#2 サランベ / 安東ウメ子
#3 Cola Boi / Simentera
#4 徳之島節 / 朝崎郁恵 with UA
#5 In the Bush / Kaoru Inoue

2015/09/01

炭素循環農法 #1


微生物のネットワーク / 炭素の循環 / 「農」のミッション / 宮沢賢治の夢みたこと / ケミカルフリーの花



[Tunes on Air]
#1Ram On / Tim Christensen
#2 Sabari / Djeli Moussa Diawara & Bob Brozman
#3 Knockin’ On Heaven’s Door / United Rhythms of Brazil
#4 愛の泉 / orange pekoe
#5 Bluebird / Tica
#6 This Is Goodbye / 畠山美由紀

2015/05/12

田んぼでエンデを考えた





[Tunes on Air]
#1 Kiss & Cry / 宇多田ヒカル
#2 GAME / bird
#3 ツキノシズク / Paris Match
#4 くちづけ / 畠山美由紀
#5 Crazy for you / Chara
#6 悦びに咲く花 / ACO
#7 Spend the Day Without You / ラヴ・タンバリンズ
#8 愛の唄 / MISIA

2015/04/21

「世界とのズレを加速してみるのもイイんじゃないかな」



市角壮玄・いちずみそうげん(グラフィックデザイナー / 占い師)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                  
 ∋ hoxai graphics  http://hoxai.com/ 
 ∋ not for sale. http://not-for-sale.jp/
∋ かまぼこ積み木 http://la-luz.co.jp/portfolio/108980/
∋ BBT大学 http://bbt.ac/environment/event/list/...
[Tunes onAir]

#1 Wake Me Up / Avicii 

#2 Axis mundi / HARMONICA CREAMS

#ending 風の唄 / milkyshadows

2015/02/10

モードとチョコレート



バレンタインデーの歴史は、ローマ帝国の時代にさかのぼる。

当時、ローマでは、2月14日は女神・ユノの祝日だった。
ユノはすべての神の女王であり、家庭と結婚の神でもある。
翌2月15日は、豊穣を祈願する祭の始まる日であった。
当時若い男たちと娘たちは生活が別だった。
祭りの前日、娘たちは紙に名前を書いた札を桶の中に入れることになっていた。
翌日、男たちは桶から札を1枚ひいた。
ひいた男と札の名の娘は、祭りの間パートナーとして一緒にいることと定められていた。
そして多くのパートナーたちはそのまま恋に落ち、そして結婚した。

時のローマ帝国 皇帝・クラウディウス2世は、
愛する人を故郷に残した兵士がいると士気が下がるという理由で、
ローマでの兵士の婚姻を禁止した。

キリスト教司祭だったヴァレンティヌスは秘密に兵士を結婚させたが、
捕らえられ、処刑された。

処刑の日は、ユノの祭の前日である2月14日があえて選ばれた。
ヴァレンティヌスはこの祭に捧げる生贄とされたのだ。

こうして、
この日は祭日となり、恋人たちの日となったのである。




#1 Rather Be / Clean Bandit feat.Jess Glynne
#2 BESIDE THE FOUNTAIN / HANDSOMEBOY TECHNIQUE
#3 don't you know? / Fantastic Plastic Machine Feat. CLAZZIQUAI PROJECT
#4 Jade Buddha Temple / The Shanghai Restoration Project & Di Johnston
#5 Every Little Step / Takuji a.k.a Geetek
#6 On the Road / Kaoru Inoue


2014/09/30

もしもお金がオーガニックだったら、君は愛をただ愛とだけ交換できるのだ。

先週に引き続き、経済思想家の山口揚平さんをお迎えして羽ラジ的貨幣論をお届けします。

〜 山口揚平さん プロフィール 〜
大手コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わった後、独立・起業。
経済思想家。起業家。ブルー・マーリン・パートナーズ株式会社代表取締役。
現在、東京大学大学院生として専門の貨幣論を研究をしながら執筆、大学講師、講演など精力的に活動なさっています。
最近ではロボットによる月面探査に挑戦する、日本初の民間宇宙開発チーム『ハクト』に財務担当として参加。
ますます今後の活動から目が離せない方です。



「お金」はなくなるか?



モトカ:

 これからの「貨幣」はどうなっていくと思われますか?  


山口:
 3つ論点があると思います。 
 1つは、紙のお金とか現物のコインはどうなるのか?これは、無くなっちゃいますよね。
 今もう97%くらいのお金が電子化されていて、SUICAなどの電子マネーでピッとやったりクレジットカードで決済したりしている。そう言う意味で、いわゆるカラダで感知出来る3次元的なお金っていうのは無くなっていきます。だからますますお金に関して観念的になってくる。
 営業系の会社ではモチベーションを上げるために給料袋を渡したりしてますけど、これは結構大きい問題だと思うんです。お金の動きが早くなちゃうから。
 手紙とか電話でビジネスやってた時代と、今の電子メールでやっている時代では、生産性が上がったかと言うと上がってなくて、コミュニケーションコスト、情報のノイズが増えているんです。だからお金の動きが速くなっても幸せにはなれないんですよね。

 2つ目の論点は貨幣は国家を越えるかというのがポイントです。
 お金とは価値と信用を数字にしたものでですけれども、信用の土台っていうのは60年前に金本位制というものからいわゆる中央銀行制度に変わって国家がお金の信用を担保するっていうシステムになっている状態ですが、今はそれが無くなって来ていて、最近は無国籍通貨。ビットコインを中心として楽天ポイントとかイオンやTSUTAYAのポイントとか膨大なものが出て来ている。「ブロックチェーン型コイン」と言って、信用の土台が非常に堅固なセキュリティーがありますよということで価値と信用を担保している。これは国家を越えた企業体が発行している。多国籍企業が発行する貨幣の方が国家よりも強くなると、貨幣システムだけじゃなくて僕らの文化とか社会的価値観とか、あるいはヒエラルキーとかそういうものが全部変わってくる訳です。
 僕らの時代は「ネイションステート/ 国民国家」を中心にあらゆる法律、教育、文化、戦争の土台、宗教の土台が作られて来た訳だけど、何処の国に住んでいるとか何処の国に所属しているとかってあんまり関係なくなってくるんですよね。これは歴史的、文化的、文脈の問題が有るんだけれど、いずれにしても今21世紀、国民国家というものが波状してきている訳です。

 3つ目は、人類は貨幣を超えるか?っていうテーマです。要は、もう「貨幣」じゃないよねってこと。人類のコミュニケーションツールが貨幣じゃなくなるっていうすごく大きなテーマ。
 さっき言ったように貨幣の本質というのは「数字」です。例えば、インディアンと植民して来たイギリス人達がマンハッタンの土地を100ドルで売りましたとか、その頃からあらゆる民族がコミュニケーションできる「数字」という最強言語を果たして人類は克服するのか。つまり人類は「数字」を使わないでコミュニケーションできるのか?っていうことなんです。 


リエ:
 へー!してみたいですね^^


縦のお金 と 横のお金



モトカ:
 ドゥルーズ・ガタリは「貨幣は税から生まれた」と言っています。つまり、貨幣は交換よりも富を吸い上げることの方に密接に結びついている、と。
 要は信用を担保するものの背景に何があるのかということはとても重要だろうと思うんです。今の通貨は国家権力によって担保されている訳で、それが税から生まれたとするなら、有機経済、交換経済、実態経済がどんなに発展普及したとしところで結局は税金を納めなければいけない。そうした現実的なテーマに対して何かアイデアはございますか? 


山口:
 「税とは何か?」ってことだと思うんです。 
 世界は「縦の世界」と「横の世界」があるんです。共同体の中にヒエラルキーをつくって下からお金や労働力を吸い上げて、上から偉い人がそれを流すことによってインフラを作ったり社会保障をしたりする。これが「縦」の社会システムですよね。
 もう一方で「横の世界」っていうのがあって、ネットワークでみんなが繋がっている。今のインターネットの世界ではそれがとてもフィットしていて、必要なところで必要な資源を手を上げて調達する。「俺のとこ野菜が無い!」って言うと、その人の持っているクレジットやレピュテーションに合わせて野菜が届く。必要な時に横で「アロケーション / 分配」するっていう方法に変わって来ていると言っても間違いありません。クラウドファンディングやスマートグリッドの考え方ですよね。
 税が貨幣の本質だとするならば、それは縦社会において必要なコミュニケーションの在り方だけど、横社会っていうのでは、必ずしもお金じゃなくてもう一つのエネルギーの凝縮言語である「インディビジュアル」にエネルギーを貯めるという方向で社会を作ることも出来ると言えると思うんですよね。 


お金と暴力



モトカ:
 ここは重要なポイントだと思っているのですが、「縦の社会」で私たちは税を払わない自由を持っていない訳です。極論すれば、私たちは国家による合法的な暴力に屈服せざるを得ないということです。こうした「お金の暴力性」に対して、私たちはどう抗えばいいのかというアイデアは必要だと思うんです。 


山口:
 共同体の中では「秩序」というものが常に必要で、「暴力」はそのひとつの手段です。共同体全員の幸福の総数は秩序がある時と無い時と比べると、秩序がある時の方が幸福の総量が多いんじゃないかというところから暴力は正当化されるし、それによって税を取るということが正当化されるっていうことだと思うんですよね。
 アメリカのドルが強いのは軍事力を持っているからです。中国が元を刷れるのは人口を持っているからですよね。貨幣を発行するにはその前提となる何らかのパワーが必要で、貨幣はエネルギーと不可分だいうことは間違いないと思います。
 では暴力とは何か? 秩序とは何か?っていうことです。暴力とは、肉体的あるいは精神的にその人の可能性を破壊していくこと、その人の自由度を奪うことですよね。これは抽象的な考え方としては「エントロピー / 散逸構造」といって物理法則なんですよ。僕らの思考とか概念とか想念とか、物を作りたいとか形にしたい、お金を増やしたい、これは全部エントロピーの話なんです。エントロピーが拡大するのは仕方がないんです。
 エントロピーの逆はネゲントロピー (negentropy)っていうんですが、僕らのカラダがぐちゃぐちゃにならずに生命を維持しているのはネゲントロピーという引き算のパワーが働いているからなんですね。
 何が言いたいかというと、僕らが学ぶべきなのはネゲントロピー、要するにエントロピーという外に広がっていくパワーを減らす、デトックスするという作業を個人がやって行かなければならない。それが、僕らが「数字」を超えるための唯一の解決策だと思っているんです。 


アートはビジネスにならない



モトカ:
 ということは、新しいシステムを構築すること以上に、経済社会を構成する私たち一人一人の意識の転換が求められている? 


山口:
 そうですね。
 非経済なもの、より本質的なものに対する社会的な理解を高めるような社会システム、小さく言えば教育システムだと思いますけど、それ以外のどのような3次元的なエコシステムも何らそれに資するものではないと思っています。
 たとえば、殆どのアートビジネスってプロダクトビジネス、あるいはブランドビジネスであってアートビジネスではないんですよね。アートって言語化できないものだから、複製可能なプロダクトに変換している。その時点で本質は削ぎ落とされているわけ。そういう意味ではリニアモーターを作ろうが量子コンピューターを作ろうがロケットエンジンの開発をして月に行こうが、それは何らエントロピーの減少や世界平和に繋がるものではない。
 本質論として、僕らは知覚のセンスを高めることです。知覚の世界っていうのは当然言語化出来ません。従ってそこでは貨幣経済が通用しないんです。それはもう教育というか啓蒙というかリテラシーだと思っていて、そういうことによって僕らは貨幣を克服していくしかないわけなんです。体験的に知覚して、そこを高めていくことでしかない。日経ビジネスを読んでもエントロピーを拡大する方法しか教えてくれないですよ。
 「プロフェッショナル」っていう言葉は、14世紀に医者と弁護士がその言葉の意味を占めることになったんだけど、もともと情報の非対称性があって患者が知らなくての自分は知っているとお金がいくらでもとれてしまうんです。それをお金に換えてはいけませんよ、ということで職業倫理が生まれた。彼らが何をして来たかって言うと、エゴデトックス。儲けたい欲望を自分の知覚のなかで解消していくことをやらされる。これはあらゆるプロフェッショナルに言えることなんですよね。師匠に学ぶ訳ですよ。だから仕事には師匠がいて弟子がいる、メンターシステムっていうのが必要なんですよ。


モトカ:
 今おっしゃったような縦のシステムと横のシステムは、両立するのでしょうか? それとも横のシステムが縦のシステムを凌駕して行くべきだとお考えでしょうか?


山口:
 うーーん。。。まぁ感覚でいうと、オルタナティブというものはクリティカルマスを超えないんですよ。18%を超えない。だから全体の83%以上は貨幣経済がこれからも続くし、人類はそういった意味で「数字」を完全には克服しない。「数字」が無くなることは無いということですね。従って貨幣が無くなることは無い。貨幣を何処が発行するかわからないけれど、人類が最強言語であるお金を使い続けることは間違いないです。


人はネットワークで生きる



モトカ:
 ということは、幾つかの経済システムが並列しながら展開していくような社会をイメージなさっている? 


山口:
 そうですね。
 ただ、いずれどこかの時点で幸福度調査をしたくって。いわゆる貨幣経済と非貨幣経済の幸福度とか自殺率を客観的に計って、要するに有機野菜がカラダに良いように非貨幣経済がカラダに良いということを検証するっていうが僕の研究のテーマですね。 


モトカ:
 幸福って多様ですから、それをどうデザインするかは難しそうです。


山口:
 確かに、幸福は難しいですねw
 まぁただ今って自殺とか多いですけど、殆どの死因、福島の被災地で避難所の中で病気で死ぬんじゃないんですよ。人は病気とかタバコとか酒とかで死ぬんじゃなくてネットワークで死ぬんですよ。要するに孤独で死ぬんです。だから翻っていかに有機性が幸福に影響を与えているのかが分かっていますよね。


リエ:
 やっぱり、ふわふわしながら農業とかコミュニティーの中で助け合いの経済を回そうという若者達にとって、お金の実態を教えてくれるって大事だとおもうんですよ。お金にはそんな本質があったんだって分かれば、またM&Aに進む人がいるかもしれない、横の繫がりの方をやっぱりやりたいと思う人はやったらいい。ニュートラルになりたいですね。


山口:
 二つ必要ですよね。
 本当に僕が提案したいのは「時間主義」と言っているんですけれど、最終的には時間が通貨になると思っているんです。時間って有限ですから時間効率を上げるしかしかない。ということは自分の時間価値を上げる方が良い。それだけは計算した方が良いと思う。クレジットのかけ算なんです。
 もう1つは健康投資。これにはお金がかかる。本質的にプロフェッショナルに生きている人って、お金が有るか無いかでやることは変わらないんです、タクシーに乗るぐらいなんですw
 自分がコントロール出来る時間がどれだけあるかっていうことが今の時代は一番必要なんです。そのあとの時間を横社会に振り分ける。それがコツかなって思っています。



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  #1 Money Changes Everything / Cyndi Lauper featuring Adam Lazzara

#2 Money In the Meter / Bing Ji Ling
#3 It's Nice to Have Money / DJ Smash
#4 You Never Give Me Your Money / The Beatles
#5 Money In The Rhymebook / Think Twice feat. Coates
#6 Fuck Money / Dela
#7 When Your Life Was Low / Joe Sample feat. Lalah Hathaway



羽ラジ

2014/09/23

『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』

今週は、経済思想家の山口揚平さんをお迎えして羽ラジ的貨幣論をお届けします。

〜 山口揚平さん プロフィール 〜
大手コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わった後、独立・起業。
経済思想家。起業家。ブルー・マーリン・パートナーズ株式会社代表取締役。
現在、東京大学大学院生として専門の貨幣論を研究をしながら執筆、大学講師、講演など精力的に活動なさっています。
最近ではロボットによる月面探査に挑戦する、日本初の民間宇宙開発チーム『ハクト』に財務担当として参加。
ますます今後の活動から目が離せない方です。



アートとビジネスを繫ぐもの



モトカ:

 『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』というタイトルは計算されていますね。タイトル自体が素晴らしいコピーになっています。


山口:
 貨幣論はずっと研究していて、僕の友達で『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』の担当者だった加藤さんっていうヒットメーカーがいるんですけど、彼が「これはいい本なのでタイトルを練りましょう」って言ってくれて、それでこういうタイトルになってんです。
 でも芸術の本だと思って買われた方が、貨幣論の本だったから騙された的なコメントがアマゾンとかにあったりする。(笑)


モトカ:
 私はこのタイトルにはどんな人に読んでもらいたいかっていうことも含まれていると思ったんですけどねぇ。
 ゴッホやピカソはアーティストですから、これから世に出ようとしている若きアーティストたちに向けてのマネタイズ指南の本だ、って私はピンと来たんですね。



山口:
 本当にそこが21世紀の論点だと思っているんです。
 いわゆる「アートの世界」と「ビジネスの世界」があって、「アートの世界」は無理数、要するに分解出来ない主観的な、非言語の、イメージの世界ですよね。「ビジネスの世界」は整数、分解して理解出来て、言語化出来る客観の世界。二つの世界を繋ぐには「デザイン」ということが鍵になっていて、一番難しい所だと思うんです。 
 みんな主観の世界で好きなことをやって生きて行きたいんですよね、それは自分だけが分かる世界で非経済。そして客観の世界は誰もが分かる数字と論理の、言葉で理解できる世界。ここはコミュニケーションが出来る世界なので、両方をどう繋げるか、本当に繋げられるのかっていうのが、今日お話する貨幣論でも一番難しいんですよね。



「お金」という言語



モトカ:
 著書では「お金のピラミッド」という図で示してらっしゃいます。「使命が転じて価値となり、価値が変じてお金になる」と。
 これはアーティストに限らず、自分なりの表現をしていくにあたっての内的衝動として「使命」にフォーカスせよという、とても勇気づけられる提案ですね。


山口:
 経済学の歴史を追っていくと16世紀カルヴァン派に遡って、プロテスタンティズムの倫理が資本主義の精神に引き継がれていく考え方なんです。
 もともと人とは「神の触媒」であり「透明なメディア」である。神の魂の意図を顕在化させるためのメディアとして自分を見てゆくんです。そうすると、物質の最終形として最もヴィヴィッドな形が「お金」なんですよ。お金っていうのは顕在化された物質の王様。「顕在化」っていうのは誰もが分かるってことなんです。  
 じゃあ「お金ってなんですか?」っていうと、お金は「価値」と「信用」を数字にしたものなんです。もっと単純に言ったら「数字」なんですね。
 じゃあ数字って何かというと、世界80億人の誰もが出来る「言語」なんですよ。 


リエ:
 言語なんですか! 


山口:
 最強言語なんです。誰もが理解できる言語。
 だから資本主義が共産主義に勝ったのは当然で、世界が一つになるには、誰もが理解できる数字=お金で「コミュニケーション」しようということになったんです。お金でのコミュニケーションは、より多くの人とコミュニケーション出来る。100万円は100万円ですから、誤解が発生しない。一番摩擦がないんです。
 だから男女の別れは最後お金で決着付けるわけですよねw


リエ:
 あははは!!!なるほど!


山口:
 ただし、お金っていう言語は「ローコンテクスト」と言って物語を伝えることが難しいんですね。例えば100万円あったととして、その100万円がどういう風に出来たのか?東北の復興で全部流された漁業組合がホタテの栽培を3年かけてやり抜いて手にした100万円と、ちょっと上場株を買って3日で上がった100万円と、そこにはストーリー・コンテクストに違いがある。そう言う意味で数字というのは全くコンテクストを持てない言語なんです。これが資本主義の一番の弊害なんですね。
 よく格差が弊害だと言っていますが実はそうではなくて、コンテクストをもうぶった切るときにお金を使う訳ですよ。いやこれは、本当に大事な事なんですよw 
 ビジネスって結局は早く回して、お金を作っていく訳でしょう?そういう時に、社員1万人の会社があったとしたら1万人の人々の想いをもとにやっていたら前に進まない。だからお給料っていう仕組みがあるんですね。ローコンテクストを使ってお金で回そうという訳なんです。



物語を売る



モトカ:
 お金はコミュニケーションツールであるということを書かれていますね。お金を媒体とした交換の中に「物語」を持ち込もう、と。 


山口:
 そうですね。お金はアミノ酸と一緒なので、何か別のものと結合しないと「価値」が生まれないと考えています。


モトカ:
 ピカソは新作が出来ると画商を何人も呼んで新作を見せながらそのストーリーを語る、というエピソードは面白いですね。


山口:
 そうそう。ピカソはまず絵をカバーで覆ったまま3時間だらだらとしゃべるんです、先に。絵を見せないで。まぁ、なんと言うか絵がうまい以上のビジネスの才能、コミュニケーションの才能があったわけですね。で、こういう物語で、こんな背景があって…としゃべった後に、おもむろにバサーーと覆いを取って絵を見せる。 
 そこには画商がいっぱい来ていて、「あいつが買うなら、俺も買う」と競わせる。するとどんどん絵の値段が上がる。値段が上がると「価値」が高いように見えるのでますます値段が上がる。

 

モトカ:
 要するにセルフプロデュースということでしょうか。


山口:
 そうですね。ピカソには画商が必要なかった。アトリエで売るのが一番「物語」を伝えられますからね。
 プロダクトじゃなくてプロセスを売るっていうのは、21世紀に重要なことです。物ではなくて物語を、プロダクトじゃなくてプロセスを売る。


モトカ:
 ピカソのエピソードでもう一つ面白いなと思ったのが、日常の買い物を全て小切手で支払ったとか。


山口:
 そうなんです。ピカソは自分に名声が有ることを知っていた。だから例えば乾物屋の親父でさえもピカソを知っている。
 小切手は銀行に持っていくとお金に換えられるんですが、ピカソのサインが入っている小切手だから銀行に持っていって変えるよりも家に飾っておこうと思う訳ですね。そうすると、ピカソとしては銀行に小切手が持込まれないから預金は引き落とされない。ってことはタダで手に入るということです。
 これは「評価経済」と言われていることなんです。マネタイズをしないでお金を手に入れる方法ですよね。要するにお金を使わないんですよ。実は「株」って評価経済なんです。株価が上がったり下がったりというのは、会社の「人気」が上がったり下がったりしているのを「価値」と言っている。
 いま僕らはfacebookで繋がってしまっていたり、食べログがあったり、つまり上場しているということなんです。『食べログ』ならぬ『人ログ』が出来ているんですね。僕なんか会う前にすぐ検索されてしまう訳ですよ。
 そうそう、google検索でサポート検索の言葉が出てくるじゃない? あれが怖くてさ(笑) あのgoogle先生に逆らったら生きていけない訳ですよ。もし離婚とかしようものなら「ヤマグチヨウヘイ 離婚」とかずっと出てくる訳w だから結婚出来ないのw



「お金」についての3ヶ条


モトカ:
 ピカソみたいに有名ではない私たちが、小切手にサインしただけで「価値」を生むようになるにはどうしたら良いと思いますか?


山口:
 僕も「アーティストのためのビジネスモデル講座」っていうのをやっているんですけど、今日もここまでに3つのことを言っています。
 1つ目は、物でなくて物語を。
 ピカソがやったようにプロセスを見せて背景を売る。例えばクラウドファンディングだって、物語にはお金を払って物は買わない。だからアーティストも、自分がなぜそれを描くのか原体験を分かりやすくストーリーにして説明していくということがとても重要。就活したくないって言うけれど、原点の棚卸というのをしなければならない。そのストーリーを分かち合いましょうということなんですね。ディズニーランドなどが良い例ですね。  

 2つ目は、お金をやっぱりもらわなければならない。マネタイズ。
 たとえば、絵を描く人がお金ないと絵の具買えないからね。僕芸大目指したんですけど、あれ、本当にお金かかるんですよね。
 で、これはいろんなもらい方があるんです。それをプロフィットモデルと言うんですが、これを沢山作らなければならない。お金を回すためには会員でもいいし、絵画教室でも撮影会でも似顔絵でもプログラミングでも、あるいはアイコンを作って上げるのもいいし、アプリ開発でもいいし、何でも良いの。自分がアートを描くことの周辺にプロフィットモデルを沢山作ること。

 一番重要なのは、お金っていうものにニュートラルでいること。 
 アーティストっていうのは基本的に自分の主観的な世界に住んでいるんです。僕もアート気質なのでよく分かるけど、それは非常に神聖なものなんですね。だからアートではなくてプロダクトの世界、言語化できる客観の世界が嫌いなんですよね。体育会系と文化系の戦いってかんじですね。リア充と非リアみたいな。分かれちゃってるんですよね。その「嫌悪感」というようなものに対して心の中で克服しなきゃならない。僕たちはカラダを持って生まれている以上、数字という最終言語をもって、自分の世界じゃない世界とコミュニケーションしなければならない。
 開き直りですかね。割り切りかな。これが3つ目。



お金儲けは才能か?


モトカ:
 さて、「価値」と「価格」とは必ずしも一致しないことが往々にしてあります。どのように説明できるでしょうか?


山口:
 「価値」と「価格」っていうのは、本質的に全くパラダイムが違う世界にあるんです。「価値」は個別・固有の瞬間美であって、決して言語化できないものなんです。
 だから「価値」と「価格」が一致することは無いと僕は思います。ま、瞬間的に一致することはあるけれど。
 

モトカ:
 とすると、「価格」とは何に対して設定しているのでしょう?


山口:
 「価格」はニーズの引力です。
 昔ラジオで福山雅治さんが言っていたんです。「成功するにはどうしたらいいですか?」「波に乗ることです」なるほどねー、と。 
 これは経営能力があるとかではなくて、社会・顧客の求めているものに対して主観を排除して淡々と客観的にやること。これが、お金を稼ぐ時には必要なんだと思います。

  

モトカ:
 「引力」ですかw
 やっぱり何らかの隠然たる「力」が存在しますよね。私のボキャブラリーで言うなら「呪力」というような力学。ピカソにしても、そういう魔術的な力で自分を演出したように思うんです。


山口:
 僕は学歴とか役に立たないと思っていて、ストリート・スマートと言うんですけれども現場で生きて行く力というのが大事で、やっぱり直感でそれをする人がいますよね。どういう方向に引力・重力が働いているかを良いタイミングで見抜いて、良い感じで控えている人。
 

モトカ:
 それは才能なのでしょうか? 


山口:
 才能と言うかは分からないけれども、「知覚力」と「効率的に遂行する力」の二つだと思っています。 
 どこにどういう気が溜まっているかを知覚する能力。これに関しては謙虚さと好奇心を持っていると磨かれるセンスだと思う。要するにオープンマインドってことだと思うけど、天性のものじゃなくて技術だと僕は思いますよ。
 ステップ・バイ・ステップで透明度を増して我を落とす。 結局は「自分とは何か?」っていうことの定義を少しづつ変えていくことなんだよね。そうして世界に関しての感度を増していく。
 95%の人は、自分が考えた結果が溜まった「記憶の結晶体」のことを自分だと思っているんです。そこにトラウマとかが溜まっていたりする。


リエ:
 記憶の結晶体...。


山口:
 「今、辛いな」とか「腹減ったー」っていう状態を自分だと思っている。でもね、それは違うんですよ。そうじゃなくて、考えること、感じることをやっている主体がいるということにどこかで気がつくんです。


リエ:
 主体がいるんだと...?


山口:
 その主体が感じた結果が、「腹減った」とか「気分が悪い」とか「俺ってダメだ」とか。それは思考の結果。
 つまり多くの人は、もわもわっとした火山の吹き出し口から出ている煙を自分だと思っている。吹き出している結果をね。だけど本当は吹き出し口を覗いて見ることが大事。映画でいえば、スクリーンじゃなくて映写機を見る。 


モトカ:
 ヨガ的な感覚ですね。主体を客観視して自己を内省すると言うか、今起きている出来事をありのまま感じきるっていうような。


山口:
 まさにそうですね! 
 僕のかつての上司はいつもニコニコしていて、最終的には出世して社長になるんですけど、彼女は何が違うかというと自分をコントロールできている訳です。自分が辛い時に、自分が辛い状況を俯瞰出来ている訳です。彼女は非常にクレバーな人でしたから、自分に出て来ている感情を認知していて、感情と意識が一体化してないんです。自分の意識や知覚の焦点はもっと裏側にあるから、今自分がどういう風に感じているかを客観的に把握できてるんです。これがすごいなーと思って。 
 それはビジネスマンとして最大の強さだと思う。コミュニケーションしやすいですよね。



「使命」について


モトカ:
 今の話にちょっと繋がるんですけど、自分が置かれている立場や環境において「今やるべきこと」というのは、往々にして「使命」と呼ぶべきものとは微妙にズレることがあります。


山口:
 うーん...。僕は、やることが自然な方を選択するようにしてる。絶対に罪悪感や義務感で動かない!
 なので、それ以外は捨てるw


リエ:
 つまり、開き直るということですか?ww 


山口:
 捨てたとたんに、自然に出てくるものがるんですよ。
 僕もできてないけれども「存在の肯定感」っていのを大切にして、自然な衝動に従っていく。その自然さっていうのは自分の知覚レベルで、それをすることが存在の意図に従うっていう感じなんですけど、これを出来るだけ選択していくのが良いんじゃないかと思っているんです。
 自己俯瞰することによって、感情とか思考のアウトプットが明らかになって客観視できるので、意識が奪われることが無い。意識を奪われて行うよりは、行動しないで自分の意識の焦点を存在の本質の一番近い所においておく。


リエ:
 削ぎ落としていくような感じですか?


山口:
 大きな意思決定だね。
 みんなが罪悪感とか同調欲求とか、ローコンテクストで行動したとするじゃない? そうすると、ハイコンテクストで行動する人が楽なんだよね。要するに社会にフリーライドしている訳、そういう人は。


モトカ:
 俯瞰して見たものはスタティックじゃないってことですね。動的な流れがあって、その潮目にあるものを見ていくことが大切なんでしょうね。 


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  #1 SOLID SLIDER / 山下達郎
#2 Bop-Be / Keith Jarrett
#3 Smooth Operator / Sade
#4 The Tea Leaf Prophecy / Herbie Hancock Feat. Joni Mitchell
#5 Caribbean Girl / Mario Basanov
#6 (You are) More Than Paradise / Port Of Notes
#7 Once I Loves / John Tropea
#8 Slippin' Into Darkness/ Marcus Miller
#9 A Thousand Years / Christina Perri
羽ラジ